網膜硝子体疾患について│加古川市 JR宝殿駅北口より北西へ徒歩10分 よこやま眼科クリニック|網膜剥離 など

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網膜硝子体疾患

網膜剥離

眼球をカメラに例えますと、網膜とはフィルムに当たるものです(図1)。網膜は神経の膜であり、角膜や水晶体を通って入った光が網膜に当たると網膜はそれを電気信号に変えて、視神経を介して脳に刺激を伝える結果、ものが見える、ということになります。網膜剥離は網膜が何らかの原因により眼球壁側から外れてめくれる(剥離する)ことを指し、治療法、経過はその原因により異なります。網膜剥離には3種類あり、裂孔原性網膜剥離、牽引性網膜剥離、滲出性網膜剥離に分類されます。ただし、一般的によく耳にする網膜剥離とは、裂孔原性網膜剥離を指す場合が多いです。

図1
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図2
図2

網膜の構造

網膜は10層の組織から構成されていて、最も深い部分を網膜色素上皮と呼びます。網膜剥離とは、何らかの原因で網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまった状態のことです。ものを見る中心部分を黄斑(おうはん)と呼び(図2)、ここは光に対して最も敏感な部分で、視力にとって一番大事な部分です。この黄斑が剥離してしまうと急激に視力が低下し、治療がうまくいっても元通りの視力に戻らない場合があります。

網膜剥離の分類

1)裂孔原性網膜剥離

網膜剥離の中で最も多くみられるもので、網膜に孔(網膜裂孔・網膜円孔)が開いてしまい、目の中にある水(硝子体液)がその孔を通って網膜の下に入り込むことで発生します(図3)。剥離が進行すればすべての網膜が剥がれてしまい、最終的には失明に至ります。網膜に孔が開く原因として、老化・網膜の萎縮・外傷などがあります。剥がれた網膜には栄養が十分行き渡らなくなるため、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の働きが低下してしまいます。そうなると、たとえ手術によって網膜が元の位置に戻せたとしても、見え方の回復が悪いといった後遺症を残すことがあります。

図3

2)非裂孔原性網膜剥離

網膜に孔のない網膜剥離で、牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離があります。 牽引性網膜剥離は眼内に形成された増殖膜あるいは硝子体などが網膜を牽引することにより網膜が剥離して起きます。重症の糖尿病網膜症などでみられます。
滲出性網膜剥離は、網膜内あるいは網膜色素上皮側から何らかの原因で滲出液が溢れてきたために網膜が剥離してしまった状態です。ぶどう膜炎などでみられます。

裂孔原性網膜剥離の症状

網膜剥離の前駆症状として飛蚊症(黒いゴミのようなものが見える症状)や光視症(視界の端に光のようなものが見える症状)を自覚することがあります。病状が進んでくると視野が狭くなったり視力低下が起きます。黄斑が剥離すると急激に見えなくなります。

裂孔原性網膜剥離の治療

網膜裂孔・円孔だけが認められ、まだ網膜が剥離していなければ、レーザーによる網膜光凝固術で進行が抑えられることもあります。すでに網膜剥離が発生してしまった場合は手術が必要になります。網膜剥離は治療せずに放置した場合、失明する可能性の高い病気です。
手術は大きく分けて2つの方法があります。
一つは網膜復位術といいます。目の外から網膜裂孔に相当する部分にスポンジのようなあて物をあてて、さらに孔の周りに熱凝固や冷凍凝固を行って剥離した網膜を接着させ、必要があれば網膜の下に溜まった水を抜くというやり方です(図4)。


図4

もう一つの方法は、目の中に細い手術器具を入れ、目の中から網膜剥離を治療する硝子体手術という方法です(図5)。この方法では、剥がれた網膜を押さえるために、目の中に空気や特殊なガスあるいはシリコーンオイルを入れます。手術後にうつぶせなどの体位制限を伴う安静が必要です(図6)。


図5

図6

裂孔原性網膜剥離の予後

手術療法によって多くの網膜剥離は復位させることができますが、一度の手術で網膜が復位しないために、複数回の手術を必要とすることもあります。また、重症例は増殖性硝子体網膜症と呼ばれ、剥離した網膜上に増殖膜が形成された状態で治療が非常に難しくなります。 術後の視力に関しては、もともと黄斑が剥がれていない場合には手術前と同程度にまで回復する場合もありますが、黄斑が剥がれてしまっていた場合には、もとどおりの視力に戻ることは難しくなってしまいます。早期発見、早期治療が望ましいと言えます。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、腎症、神経症とともに糖尿病の3大合併症の一つで、我が国では成人の失明原因の第一位です。もちろん糖尿病と深く関わっており、糖尿病を長年患い血糖値が高い状態が続くと、網膜症が徐々に進行します。糖尿病網膜症は重症度によって3段階に分類されます。単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症といいます。

単純糖尿病網膜症

初期の糖尿病網膜症です。最初に出現する異常は、細い血管の壁が盛り上がってできる血管瘤(毛細血管瘤)や、小さな出血(点状・斑状出血)です。蛋白質や脂肪が血管から漏れ出て網膜にシミ(硬性白斑)を形成することもあります(図1)。これらは血糖値のコントロールが良くなれば改善することもあります。この時期には自覚症状はほとんどありません。定期的な眼底検査と血糖コントロールが重要です。


図1

増殖前糖尿病網膜症

単純網膜症より、一歩進行した状態です。網膜には無数の細かい血管が張り巡らされていますが、血糖値が高い状態が続くと網膜の血管が少しずつ損傷を受けつまってきます。造影剤をつかった検査により、血管からの漏れや血液が流れていない部分(無灌流領域)の状態を把握し進行度を判断します(図2)。
この時期になるとかすみなどの症状を自覚することもありますが、全く自覚症状がないことが多く、放っておくと気付かない間に増殖網膜症へ進行してしまいます。
治療としては、レーザーを使って無灌流領域に網膜光凝固術を行う必要があります。


図2

増殖糖尿病網膜症

進行した糖尿病網膜症で重症な段階です。網膜の血管がつまると血液の流れが悪くなり、網膜の隅々まで酸素や栄養が行き渡らなくなり、その結果網膜は新しい血管(新生血管)を生やして栄養を補おうとします。新しい血管が生まれることは一見いいことのように思われますが、そうではありません。新生血管はもろい奇形の血管のため容易く切れて出血を起こします(硝子体出血 図3)。また新生血管付近には増殖膜と呼ばれる分厚い膜が張ってきて、網膜を引っ張って剥離させます(牽引性網膜剥離 図4 図5)。
この段階の治療には、手術を必要とすることが多くなりますが、手術がうまくいっても日常生活に必要な視力の回復が得られないこともあります。この時期になると血糖の状態にかかわらず、網膜症は進行してゆきます。最終的に緑内障(血管新生緑内障)を合併すると失明する可能性が非常に高くなります。


図3

図4

図5

加齢黄斑変性

概要・特徴など

眼の解剖について

眼に入った光は角膜(黒目)、瞳孔(茶目)、水晶体、硝子体を通って網膜に像を結びます。その情報は視神経を通じて後脳に伝えられていき、最終的に映像として認識されます。水晶体はカメラでいうとレンズ、網膜はフィルムの働きをしています。
黄斑は、網膜の中心部で、ものの形、大きさ、色、奥ゆき、距離など光の情報の大半を識別しているところで最も重要なところです。この部分に異常が発生すると、視力低下をきたします。

加齢黄斑変性について

近年、我が国で増加傾向にあり、視覚身体障害者を来たす原因疾患の第4位であります。加齢黄斑変性は大きく分けて滲出型加齢黄斑変性と萎縮型黄斑変性に分けられます。

● 滲出型黄斑変性

脈絡膜に新生血管が出現し、新生血管は構造がもろいため、黄斑部に出血を来たしたり、滲みだしたりすることにより網膜を腫らしたりします。急激に進行するものも多く、黄斑に不可逆性の障害を来たしてしまうことも多くあります。自覚症状としては、中心部のゆがみ、暗点などがあります。

● 萎縮型黄斑変性

黄斑の色素上皮が加齢により痛んで視力が低下します。進行はゆっくりですが、滲出型に移行する場合があります。現時点では有効な治療方法はありませんが、サプリメントなどを服用していただくことがあります。


滲出型黄斑変性が治療対象となります。

手術に際しての注意事項

抗VEGF薬(ルセンティス注射)

脈絡膜新生血管の悪化や活動性の維持に関わるVEGFを薬で阻害することにより、脈絡膜新生血管の退縮をはかります。

・ルセンティスについて

ルセンティスはヒトVEGFを標的とし、網膜の血管形成を阻害するヒト化モノクローナル抗体のFab断片です。VEGFを阻害して脈絡膜新生血管の形成および血管透過性を抑制します。3カ月までは1カ月ごとに注射し、その後は視力の低下および滲出性病変の悪化などで追加投与することが推奨されています。

術後に予測される合併症
・細菌性眼内炎

可能性は極めて低いですが、針穴から細菌が入ることがあります。眼内炎がおこり放置すると重篤な視力障害がおこりますので、抗菌薬の点眼、内服で予防につとめ、発症した場合は細菌除去を目的として硝子体手術が必要になることがあります。

・脳梗塞

可能性は低いですが、脳梗塞のリスクがある患者様におこる場合があります。手術後、ふらふらする、手足が動きにくい、呂律がまわりにくいなどあればすぐに連絡していただくことが必要になります。

治療の流れ

眼の周りおよび眼球を消毒薬で消毒ののち、開瞼器で瞼を開けたうえ、眼球内に薬液を注射をします。
その後、抗菌薬の軟膏を点入して眼帯をして帰って頂きます。術後、眼内炎などの合併がないかどうか、治療経過はどうかなどみるための受診が必要になります。

黄斑上膜

黄斑上膜とは

図1
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図2
図2

目の奥にはカメラに例えるとフィルムの役割をする網膜と呼ばれる組織があります(図1)。物を見た時に像が写る場所です。その網膜の中でも視力に関わる最も大事な場所が黄斑と呼ばれる部分です(図2)。黄斑上膜とはこの黄斑の上にセロファンみたいな膜ができる病気です(図3)。


図3

黄斑上膜の症状

初期には無症状ですが、進んでくると物を見る中心である黄斑の上に膜ができるため、膜越しで物を見ることになり視力が低下します。またこの膜が収縮することによって、網膜を引っ張り、しわをつくることがあり、物がゆがんで見えたりする場合もあります。基本的に失明することはありません。

黄斑上膜の原因

誰でも50~70歳くらいになると眼の大部分を占める硝子体に変性が起こってきて、硝子体が網膜から離れていくのですが、この時に、黄斑に硝子体の一部が残ってしまうことがあり、これが分厚くなって黄斑上膜となると考えられています。その他、外傷やぶどう膜炎(眼内に炎症があこる病気)など眼の中の炎症が原因となる場合もあります。

黄斑上膜の治療

黄斑上膜は目の一番奥にできる病気なので、目薬や飲み薬では良くなったりすることはありません。手術をして黄斑上膜を取り除く以外方法はありません。ただ、黄斑上膜があれば、すぐに手術をしなければならないというわけではありません。黄斑上膜により視力低下・ゆがみなど患者様の自覚症状が強くなった時に、症状改善のため手術をします。また、黄斑上膜は放置しておくと網膜の一部である黄斑部に強いしわ・むくみ・あな(円孔)を作ることがありますので、手術をしない場合でも定期的な眼科受診をしていただき、黄斑上膜の状態を検査しておくことが大切です。

黄斑円孔

黄斑円孔とは

図1
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図2
図2

目の奥にはカメラに例えるとフィルムの役割をする網膜と呼ばれる組織があります(図1)。物を見た時に像が写る場所です。その網膜の中でも視力に関わる最も大事な場所が黄斑と呼ばれる部分です(図2)。その黄斑に円 (まる)い孔(あな)があく病気が黄斑円孔です(図3)。


図3

黄斑円孔の症状

好発年齢は50歳から70歳ぐらいで女性にやや多い傾向があります。(1)視力が下がる (2)見たい所が黒い影になって見えない (3)ゆがんで見える等の症状が出ます。

黄斑円孔の原因

眼球の中は硝子体と呼ばれる透明なゼリー状の物質で満たされています。元々硝子体は網膜全体とくっついていますが、50歳から70歳ぐらいの間に網膜から外れてきます。
この時黄斑を引っ張る力が強いと穴が開き黄斑円孔ができるわけです。どういう人になりやすいか等の原因はまだ分かっていません。内科的な病気や日常生活の過ごし方などとの関連はないと言われています。

黄斑円孔の治療

現在のところお薬での治療法はなく、硝子体手術と呼ばれる手術治療が基本です。目の中に器具を挿入し、黄斑円孔の原因である硝子体を吸引除去します。特殊な医療用ガスを入れて黄斑円孔を圧迫し閉鎖させます。術後は数日間うつぶせが必要です。

治療の進歩

黄斑円孔に対しては20年以上前から硝子体手術が行われています。約10年前に内境界膜という網膜の表層にある膜を取る方法が報告されて以来、治療成績が非常に良くなり約95%の方が一回の治療で治るようになりました。以前は術後1カ月程度うつぶせが必要でしたが、最近では3日程度にまで短くなり患者さまのご負担も非常に軽くなっております。
さらに当院では、軽症の場合のみ術後のうつぶせ期間を数時間に短縮したり、うつぶせそのものをしないで治療するようにしております。
手術器具も針のように細くなったため傷を縫わなくてもよくなり、術後の充血や違和感も格段に少なくできるようになりました。

網膜中心静脈閉塞症

網膜中心静脈閉塞症とは

網膜には動脈と静脈と呼ばれる2種類の血管が分布しております(図1)。体から目に流れてくる血液は、動脈を通って目の中に酸素や栄養を運び、静脈を通って再び体へと戻っていきます。この静脈がつまる(閉塞)と血液が体へ戻れなくなり、網膜に溢れ出てしまいます。ちょうど、下水道の排水がつまって、まわりに水が溢れ出ている状態と同じことが目の中で起こると考えて下さい。網膜の静脈は細かく枝分かれしておりますが、徐々に集まり最終的には一本の血管(中心静脈)に集合します。この中心静脈が詰まることを網膜中心静脈閉塞症(図2)といい、枝分かれした細い血管が閉塞すると網膜静脈分枝閉塞症(図3)と言います。
どちらの場合も黄斑と呼ばれる視力にとって大事は部分に出血やむくみがでると視力が低下します。放置していると血液不足を補おうと異常な血管が生まれ、その異常血管が切れて出血(硝子体出血 図4)を起こしたり、場合によっては緑内障になって失明することもあります。


図1

図2
網膜中心静脈閉塞症

図3
網膜静脈分岐閉塞症

図4

網膜静脈閉塞症の症状

網膜分枝閉塞症の場合、黄斑以外で閉塞が起こると全く無症状のことがあります。
黄斑近くで閉そくが起こると、出血やむくみのせいで視力低下や物がゆがんで見える(変視)ようになります。
網膜中心静脈閉塞症の場合は黄斑を含めて広範囲に病変が及びますので、こちらの方がより重症です。視力低下や変視はもちろんのこと、硝子体出血を起こしたり、緑内障を合併すると失明の危険性が高くなります。

網膜静脈閉塞症の原因

高血圧や糖尿病、動脈硬化の患者様に起こりやすいと言われています。
網膜の中を走っている動脈と静脈はお互い譲り合って流れていますが、動脈硬化が進むと静脈を圧迫するため、静脈は流れにくくなります。これにより静脈の血液が溢れ出てしまうのです。

網膜静脈閉塞症の治療

  • レーザー治療
    病気が進行し、硝子体出血や緑内障になるのを防ぐ目的で行います。黄斑のむくみの治療として行うこともあります。
  • 眼球への注射
    黄斑のむくみの治療のために眼球の周りや眼球内に種々の薬剤を注射することがあります。注射する薬剤は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)や抗VEGF抗体と呼ばれるものです。
  • 硝子体手術
    黄斑のむくみを取る場合や硝子体出血を取り除く目的で行います。


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